運転チェックシートとは
実際の教習状況に応じた項目名を作成し、さらに項目名に対応した細目として技術の詳細を作成しま
す。各項目は、それぞれの指導員によって1時限の教習の中で実施したり、しなかったりする場合に対
応するため、できるだけ詳細に区分し、多くの指導員の教習内容を的確に記録できるようにします。
作成した項目及び細目を確認しながら、実際の教習で記録し、次の指導員に引継ぎができる教習進度
チェック表を作成しました。
なぜ運転チェックシートを作成したのか?
普通免許に係わる技能教習の現場において、記載される履修項目と履修された技術の乖離を無くし、
技術の履修状況について「見える化」を実現します。
そして、教習生と指導員、また指導員同士が、技能教習の進捗状況を正確に把握することで、次回
以降の教習の実施をスムーズに行うことや、技術の習得速度を高めることを目的とします。
運転チェックシートの使い方
具体的な使い方の例をご用意しましたので、ご確認いただきながらご利用ください。
チェックシート使い方→→PDF
チェックシート本体
研究会における講評(要旨)
一般社団法人全日本指定自動車教習所協会連合会 専務理事 横山様
現在の教習の履修状況を記録するための教習原簿について、普通免許に係る教習では、実際に習得した技術と原簿の記載に違いが生じ、教習の進捗状況が、教習生と指導員や、指導員同士でも正確な状況把握ができにくくなっているという問題状況に着目して、教習項目に沿って、詳細にかつ明確に表すことができる、運転チェックシートの作成を研究したものでありました。
具体的には現場の現状を把握するために、教習指導員にアンケート調査を行い、教習現場における問題点を吸い上げ、現場での試行、現場の意見聴取、改善を繰り返し、いわゆる、PDCAサイクルを回したことで、現在の教習項目の内容との相違がなく、かつ実際の教習状況に応じた項目と細目の選定、文字の見えやすさなどの使いやすさにも留意したものを作成したことは、大きな成果であると考えます。
これにより、技術の履修状況について、「見える化」するとともに、指導員同士の引き継ぎ、及び指導員と教習生の意識の乖離の防止をはかることが実現することができ、更にこの成果物を全指連のHPから全国の教習所に提供するところまで進めたことは高く評価されるものであります。
警察庁からのコメント
警察庁交通局運転免許課 課長補佐 髙木様
技能教習における運転チェックシートの活用についてですが、
現在、教習原簿については、各県、各学校ごとに定められた原簿を利用されていますが、教習原簿の他に、今回の運転チェックシートを活用することで
より詳細な履修状況を把握することができ、また他の指導員等が進捗状況を把握することができると感じました。
今後、効果的な活用がされることを期待いたします。
長期ビジョン研究会について
全日本指定自動車教習所協会連合会は、指定自動車教習所の経営問題等を長期的視点から研究するため、長期ビジョン研究会(以下、「研究会」という。)を設けています。
研究会の研究員は、各都道府県指定自動車教習所協会から推薦を受けた会員教習所の若手の経営者又は後継者などの役員から構成され、活動は4個班に分かれて、各班で研究テーマを調査・検討し、2年間の任期終了時に、研究報告を行うものです。
研究会は、平成6年から始まり、今回は第12次の研究会となり、「経営力と現場力で未来を描くー第三世代の経営・自動車教習所は新たなステージへー」を基本テーマとして、
第1班 「国民要望に基づく指定自動車教習所の将来的機能」
第2班 「将来の教習指導員数の需要バランスと教習所版働き方改革の研究」
第3班 「ヒューマンウェア経営」
第4班 「普通免許の係る技能教習における運転チェックシートの作成」
に研究に取り組んできました。
先般、第12次長期ビジョン研究会報告書を作成しましたので、ご覧ください。
第4班の研究について
現在、「指定自動車教習所の教習の標準」に定められる普通免許に係わる技能教習の標準における項目名、目標及び内容は、各段階において最終的に履修されるべき項目に分けられており、実際の技能教習において、1時限毎に履修していく項目に分けられていません。
そのため、その時限で実際に習得した技術と、教習原簿に記載された項目に違いが生じ、教習の進捗状況について、教習生と指導員や、指導員同士でも正確な状況把握ができにくくなっています。
技能教習の現場において、記録される項目名と実際に履修された技術に乖離が発生しないような手法が必要とされています。